世界ではNZワインブームが起きています!

ニュージーランド(以下NZ)と聞いて思い浮かべるものはなんですか?ラグビーに羊、キウイにマヌカハニーに…と、まずワインを思い浮かべた方は多くないはず。日本ではあまり知られていない(といっても過言ではない)NZワイン。ワインショップでも見かけることはそこまでないですよね。でも実は、NZのワイン輸出額は年間1,300億円にまで成長していて、世界で大流行しているというのです。みなさんはご存知でしたか?

岩須さん「ワインの評価を決める重要な国イギリスでは、NZワインはフランス、イタリアに続き3番目に多い輸入量を誇ります。そしてワイン消費大国アメリカでも同じく第3位の輸入量。この2つの国を筆頭に、NZワインは世界各国でバカ売れしているんです!」

今回お話をしてくださったのは、NZワインを楽しめる飲食店『ボクモ』のオーナーであり、NZワイン専門オンラインショップ『ボクモワイン』も運営されている岩須直紀さんです。

 

これから歴史をつくっていく自由な生産国

「すでにこれだけ世界で大流行しているのですから、きっと近いうちに日本でもNZワインブームが来るはずです!」とお話いただいた岩須さんですが、実は社会人としての始まりはラジオのディレクターだったというユニークな経歴の持ち主です。それが今ではNZワインにどっぷりハマり、ラジオの構成作家に加え、NZワインが楽しめる飲食店のオーナーやワイン講師、さらにはNZワインに関するWebメディアやNZワイン専門のオンラインショップの運営者まで、もはや何足かわからないほどたくさんの草鞋を履いて活躍されています。

岩須さん「NZワインとの出会いは、ラジオのディレクターだった僕が飲食店をやろうと一念発起した際に、NZに住んでいるいとこがワインを送ってくれたことがキッカケでした。それまではNZでワインがつくられていることすら知らなかった。でも飲んでみたらあまりに美味しくてビックリ!飛び抜けてフルーティーで、明らかに今まで飲んできたワインとは違う。衝撃が走りましたね。ただ、当初僕がやろうとしていたカジュアルなお店で扱うには価格が高かった。当時はまだ、ワインに関しての知識があまりなかった僕が売れるはずないと泣く泣く諦めたんです。」

岩須さんが経営するワインバー『ボクモ』

一度はNZワインへの興味に蓋をした岩須さんですが、その後、ソムリエの資格を取得され、知り合いのインポーターさんから数種類のNZワインを仕入れることになったそう。そして、あるきっかけを境にNZワインへの熱意が再燃したのだといいます。 

岩須さん「とあるフェスティバルで青空ワインバーと称して20種類ぐらいのグラスワインを出す機会があったんです。その時、NZワインが飛ぶように売れたんですよね。そしてリピーターも多い。今までは僕が密かに好きだったNZワインが日本で受け入れられるワインなんだと確信に変わりました。」

その後、実際にNZへ行きワイナリーを巡ったそうですが、現地で改めて品質の高さや生産者の熱意を目の当たりにして、NZワインを日本でもっと広めたいという思いが強くなったのだといいます。お店のコンセプトも“カジュアルなバル”から“NZワインが楽しめるお店”へと変わっていきました。

岩須さん「現地でワイナリーを巡っているうちに、NZワインならもっと自由に感じたまま紹介することができそうだ、と思えたんですよね。NZワインはまだ歴史が浅くて、世界で認められるようになってからわずか40年ほど。歴史が浅い分、古くからあるワイン生産国のように形式ばったセオリーがない。紹介する側もされる側も、カジュアルに美味しいものを美味しいと楽しめるワインなんだと思いました。」

 

強い個性と技術、生産者の情熱で躍進中

世界がNZワインを認識してまだ40年ほどしか経っていない、ワイン生産国としては歴史が浅いNZ。ではなぜ、この短期間で世界に受け入れられるまでに成長したのでしょうか。

岩須さん「まず、NZに品質の良いソーヴィニヨン・ブランが生まれたのが大きな理由のひとつです。1980年代にクラウディ・ベイという生産者が手がけたソーヴィニヨン・ブランがロンドンマーケットで高く評価されました。これを機に世界にNZワインの名が広がっていったんです。」

以前は、冷涼な気候のためブドウ栽培に適さないといわれていたNZ。しかし、NZ南島の北部に位置するマールボロ地方で素晴らしいソーヴィニヨン・ブランがつくれることが実証された。このことがNZワインの最も大きな転機だったのだといいます。

岩須さん「NZで育つソーヴィニヨン・ブランはほかの国のそれとは別格と言えるほどフルーティ。フレッシュで果実味溢れる味わいがNZワインの個性として世界に認識されています。今ではNZワインの全生産量の約75%がソーヴィニヨン・ブランです。」

ソーヴィニヨン・ブランの出現によりNZワインの生産量が急激に増えることになるのですが、それにはワイナリーの洗練された技術も影響しているのは間違いありません。

岩須さん「NZではヨーロッパが長年かけてつくりあげてきたテクノロジーを積極的に取り入れ、合理的なワインづくりを行っています。そして衛生面でも優れていて、どのワイナリーもピカピカに管理されています。人が歩くたびに水を撒いて清掃するほどの徹底ぶりで、この環境なら美しい味のワインしか生まれない、と納得させられます。」

NZワインの99%以上にスクリューキャップが採用されているのも、コルクによって発生する悪臭のリスクを避ける合理的な判断からくるものだといいます。

そして、NZワインを急成長させている要因として欠かせないのが、生産者の情熱です。

 

岩須さん「NZの生産者は歴史ある生産国に追いつこうと必死です。NZのあるマスターオブワインが言っていた言葉ですが、『僕たちはワインというパーティーに遅れて参加したんだ。だから、追いつかなきゃと一生懸命取り組むのは当たり前なんだよ』と。その言葉通り、生産者は今日は昨日より良いワインをつくろうとすばらしい熱意でがんばっています。」

また、ワイナリーの9割近くがブティックワイナリーだという点も理由の一つかもしれません。丁寧に品質が管理され、そしてワイナリーの個性が発揮された高品質なワインが生み出されています。

 

弾けるフルーツの香りと味わいが世界を魅了

ここまでNZワインが世界で売れに売れている理由を紐解いてきました。さて、ここで肝心なNZワインの味わいの特徴を紹介しておきましょう。まず、全生産量の約75%を占めるソーヴィニヨン・ブランから。

岩須さん「なんといっても弾けるような果実のフレーバーと味わいが特徴です。グレープフルーツをそのまま齧ったようなインパクトで、世界でもこれがニュージーランドの味わいだと認識されるほど突出しています。とても爽快な飲み心地で、リフレッシュしたい時にもぴったりですよ。」

なかでもソーヴィニヨン・ブランの一大産地であるマールボロ地方では、豊富な日照量と昼夜の寒暖差、そして強い風が吹くブドウ栽培に良好な気候が揃うため、よりフレッシュでフルーツ感の強いワインがつくられるそうです。

そしてこのフルーツ感は他の品種にも共通しています。フランスに負けないほどのクオリティだと評価が高いピノ・ノワールもベリーの要素がしっかりと感じられて飲みやすい味わいのものが多いそう。

もうひとつ、岩須さんが考えるNZワインの魅力に、日本食との相性の良さがあげられます。

岩須さん「例えば、グレープフルーツを感じるソーヴィニヨン・ブランにはゆず胡椒がぴったりです。ゆず胡椒で味付けした鶏肉や魚料理とぜひ合わせてみてほしいですね。そして後編の記事でも紹介しますが、出汁と相性がいい旨味のあるスパークリングワインもあります。NZワインは和食と相性抜群です。」

ボクモのメニュー『鶏セセリの和風オーブン焼き』ともぴったり

ペアリングのお話がでてきたところで、NZワインのペアリングの楽しみ方を少し。フルーティなNZワインとのペアリングの楽しみ方のポイントは教えてもらいましょう。

岩須さん「僕はよく、ワイン講座にいらした方に、NZワインをフルーツソースに例えてみてください、とお伝えします。ソーヴィニヨン・ブランはグレープフルーツソース、ピノ・ノワールはベリーソースという具合です。そのソースがどんな料理に合うかをイメージしてもらうと、素敵なペアリングが楽しめると思いますよ。」

 

青空の下でNZワインを楽しんで

世界で強い個性を発揮し、一躍人気ワインへと登りつめたNZワインですが、アウトドアでも大活躍するそうです。

岩須さん「フルーティなNZワインは青空の下で楽しむと最高です。ほとんどのワインがスクリューキャップなので、再栓しやすいのも嬉しいポイント。ぜひ、キャンプやバーベキュー、お庭でまったりする時間に、何も考えずにのんびりNZワインを楽しんでリフレッシュしてほしいです。」

アウトドアが楽しくなるこれからの季節に、ぜひNZワインを楽しんでみたいですね!

この記事の後編ではNZワインの選び方のアドバイスや、おすすめのワインを紹介してもらいました。初めて飲む人はもちろん、アウトドアに持っていくワイン選びの参考になるはず!そちらもチェックしてみてくださいね。後編は5月上旬公開予定です。

 

後編:世界で大人気の美味しさを実感!ボクモワイン岩須さんおすすめニュージーランドワイン

 

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