ドイツワインの今と魅力をちょっとおさらい


甘口の白ワインが称賛されることが多いドイツワインですが、実は世界でも稀にみる多彩な味わいが楽しめる産地であることをこれまでの記事でお伝えしてきました。主要品種だけでも20種あると言われ、栽培される品種は140近くにもなるという幅の広さ。そこに生産者や土地の個性が発揮されて、どんどん広がりを見せるドイツワインの多彩さはとても魅力的ですよね。品質の良い甘口から辛口までが楽しめ、最近では白のみならず赤ワインへの評価も高まっているといいます。そして外せない特徴に、和食との相性の良さがあるというのですから、晩酌用にも1本ストックしておきたいですよね。
ということで、ドイツワイン専門店『銀座ワイナックス』の山本さん、星野さんに今まで教えていただいたドイツワインの魅力を存分に味わえるおすすめ8本をピックアップしていただきました。このリストを参考に、ドイツワインが初めての方もそうでない方も、魅力を体感してみてくださいね。

辛口系ドイツワインの魅力が分かる2本

星野さん「ドイツの定番品種であるリースリングとピノノワールの特徴を楽しんでいただける辛口系ワインを紹介します。和食との相性の良さを感じていただくにもうってつけの2本です。」

①ラッペンホーフ リースリング カビネット TR

3,630円(税込/記事公開時点価格)
星野さん「フルーティな少辛のリースリングです。400年以上続く老舗ワイナリー、ラッペンホーフのテロワールリザーブというシリーズで、ラインヘッセン地方にある独特な土壌の個性を発揮した1本です。」
ラインヘッセン地方の一部にある赤土の斜面(本来は地下深くにある赤底統の地層が露出したユニークな土壌)で育ったブドウを使い、その土地の個性をより強く感じられるよう1年ほど置いてから出荷されています。熟したリンゴ、洋梨、パイナップルの香りと爽やかな酸、そして優しい甘みを持った飲み飽きないワインです。
星野さん「唐揚げや竜田揚げ、お魚の料理によくあいますよ。」

②シュターツヴァイングート ヴァインスベルク / ファインヘルプ

4,070円(税込/記事公開時点価格)
インパクトのあるエチケットが特徴的なこちらは、ほのかな甘みと優しい酸味が楽しめる少辛ピノノワール。
山本さん「バーデン・ヴュルテンベルク州にあるドイツ有数の公営ワイナリーで、州の紋章にも描かれているライオンが目印になっています。このワイナリーはブドウ栽培の研究や教育も行っていて、日本から現地に学びに行く方もいます。お店でも入荷するたびに完売してしまう人気ワインです。」
星野さん「すき焼きのようなちょっと甘くて濃い味つけの和食と合わせてみてくださいね。」

ドイツワインの奥行きを実感できる3本

星野さん「こちらではドイツワインの幅広さを実感していただけるものをリストアップしました。世界中のワインを飲み慣れている方にも新しい発見をしていただけるかもしれません。」

③グラーフ ナイペルク ムスカテラー / クワリテーツヴァイン ハルプトロッケン

4,400円(税込/記事公開時点価格)
星野さん「お店で試飲していただくと、多くのお客さまが今まで飲んだことがない味わいだと驚かれるワインです。非常にアロマティックでマスカットの甘い香りが特徴的なのですが、飲んでみると少辛口で爽やか。食事と一緒に楽しんでもらえますし、フレッシュな香りが気持ちを高めてくれます。」
山本さん「ムスカテラーはとても繊細で手間がかかる品種のため、ドイツでも極めて生産量が少ないです。とても個性的な味わいなので、楽しんでいただけると思いますよ。」

④インゲルハイマ― シュペートブルグンダー アルテレーベン / クワリテーツヴァイン トロッケン

5,500円(税込/記事公開時点価格)
“赤ワインの町”と呼ばれるインゲルハイムの老舗、ノイスワイナリーが手がけるピノノワール。
星野さん「ドイツのピノノワールでもこんな味わいのものがあるのかと発見していただける1本じゃないかと思います。古樹のブドウを使用し木樽熟成され、ボトリング後10年ほど生産者のセラーで寝かせたワインのため、バニラの香りとプラムのような果実味をまとった重厚感ある味わいになっています。どっしりとした赤ワインが好みだという方にも楽しんでいただける1本です。」
除草剤を使用せずすべて手摘みで収穫されるという環境にも優しいワインです。

⑤トリッテンハイマー リースリング カビネット

4,400円(税込/記事公開時点価格)
甘口ワインの新しいイメージを提案する1本がこちら。1520年からワイン造りをしているというドイツ屈指の歴史あるワイナリー、ミルツ家の甘口リースリングです。世界から高く称賛されている1本です。
星野さん「甘口ワインですが、フルーティで酸がキリッとしていて、後味がとても爽やか。もったりとした甘さが苦手な方にもおすすめしたい1本です。お酒をあまり飲めないお客さまにも好評で、飲みやすいとリピートいただいていますよ。」

ワインをじっくり堪能したい。一級品のドイツワイン

星野さん「ワイン自体をじっくりと楽しんで欲しいトップクラスの3本をご紹介します。」
山本さん「ドイツワインは一級品とされるワインでも何十万、何百万円とするものはあまりないので、比較的楽しんでいただきやすいです。ぜひ最高峰のドイツワインを味わってみてください。」

⑥ホーエンモルゲン ダイデスハイムGG [2014]

11,000円(税込/記事公開時点価格)
グラン・クリュに値する特級畑(グローセ・ラーゲ)で造られた辛口のリースリング。プファルツ地方のトップワイナリーと称され、辛口ワインを得意とするバッサーマン・ヨルダンが手がけたものです。
星野さん「青りんごやグレープフルーツのようなアロマと、豊かなミネラルが楽しめます。骨太な造りで、非常に長い余韻が楽しめ、優雅な気分にさせてくれます。」

⑦J.J.アデノイアー アールヴァイラー ローゼンタール シュペートブルグンダー GG / クワリテーツヴァイン

13,200円(税込/記事公開時点価格)
世界的にも評価が高いピノノワールの産地アール地方で、300年以上もの歴史を誇るJ.J. アデノイア―が手がけたもの。小規模生産のため日本に入ってくることが極めて少ないワインです。
星野さん「薔薇の谷を意味するローゼンタールという特級畑で造られたピノノワールで、その名の通り薔薇のような香りが漂う品格ある1本です。」
アール地方は2021年に大きな洪水に見舞われ、ほとんどのワイナリーが被害を受けてしまったそうです。『銀座ワイナックス』では、復興支援として、このワインの売り上げの10%と義援金を現地に寄付しました。また、災害後に生産者の元に残ったワインを新たに輸入することを通じて、現在は支援を行っています。
山本さん「⑥も⑦もグローセ・ラーゲという特級畑で造られた辛口系のワインです。グローセ・ラーゲに認定されるためには、収量は最大50hl/haに制限され、使用される品種も地域ごとに限定されています。さらに収穫は手摘みでなくてはなりません。このような厳しい規定をクリアした特別な畑のみで造られたワインなので、じっくりと楽しんでみてくださいね。」

⑧シャルツホーフベルガー リースリング カビネット / ハーフボトル[1988]

19,800円(税込/記事公開時点価格)
ミシュランと並ぶレストランガイド“ゴー・ミヨ誌”で最高評価の5つ星を獲得したエゴン・ミュラーの1988年ヴィンテージ。白ワインの“ロマネ・コンティ”とも呼ばれています。
星野さん「オークションでエゴン・ミュラーの甘口ワインが100万円以上の高値で落札されたことがあるほど、世界的に有名な生産者です。こちらのハーフボトルは当時私たちが現地で交渉してわざわざ作ってもらった特注品で、温度と湿度を管理した自社倉庫で35年近く熟成させています。品質を保ったままお届けできるので、魅力が増したトップクラスのドイツワインをぜひ体験してみてください。」
山本さん「シャルツホーフベルガーは、厳格なドイツワイン法で、村名を省略して畑名のみをラベルに表記できる例外的なワインで、それを許されている特別な畑はドイツに5つしかないんです。それほど希少なワインをハーフボトルで気軽に楽しんでいただけるのはとても魅力的だと思います。」

楽しみ方も多彩なドイツワイン

前編、中編、後編の3部構成でお届けしましたが、いかがでしたか?一つの生産者がさまざまな品種を栽培していて、また土地の個性を楽しめるのもドイツワインの特徴です。もし気に入ったワインが見つかったら、その生産者が造る別の品種のワインを試してみたり、ほかの生産地で造られる同品種のワインを楽しんでみたりと、楽しみ方も多彩にありそうでワクワクします。
『銀座ワイナックス』では気軽にドイツワインの相談が出来るだけでなく、試飲ワインが常に数本用意されているそうなので、お近くの方はお店に足を運んでみて下さい。また、遠方の方でも『銀座ワイナックス』のTwitterやInstagram等のSNSを通じてドイツワインに魅力を感じ、オンラインショップで注文する方もいらっしゃるそうですので、ぜひチェックしておきたいですね。

前編:甘口派も辛口派も見逃せない。ドイツワインの今、そして魅力を徹底的に解説します
中編:初心者でもしっかり分かる!ドイツワインの選び方と楽しみ方

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