ワインとお客様に誠実に向き合う麦島泰彦さん

「365日ほぼ欠かさず、1日2〜3本のワインをテイスティングして記録をとっています。」とお話してくれたのは、麦ちゃんの愛称で親しまれている『ワインブティックヴァンヴァン』の麦島泰彦さん。何とも可愛らしい愛称ですが、実は経歴25年のベテランソムリエでいらっしゃいます。「じっくりと味わいを確認し、1本1本の特徴をまとめ、それらをメルマガでも配信しているので、テイスティングには毎日1時間ほどかけています。なかなかの時間と労力を割いていますが、お店に置いているワインはできるだけ自分の舌で確認してからお客様にお出ししたいんです。」と、実直な人柄がうかがえます。

麦島さんが店主を務める『ワインブティックヴァンヴァン』は、普段気軽に楽しめるワインを中心に揃えたお店。価格帯にすると1,000〜5,000円のものが多くラインナップされていますが、麦島さんがしっかりと味を確認し、ある一定の基準を超えた品質のものだけを選び抜いています。同じワインでもヴィンテージによって質が落ちたと感じるものは置かないそうです。「誇大に表現されてしまうことも多い世の中なので、自分で確認した上でなるべく客観的にワインを表現したいですね。」とおっしゃっていました。

ワインの品質を判断するための麦ちゃんポイント


コストパフォーマンスの良いワインを提供したいという想いを実現するために、麦島さんは“麦ちゃんポイント”という独自の指標を設けてワイン選びをしているそうです。「ワインの外観や香り、味わいなど、それぞれに細い項目を設けて点数化し、1,000〜1,500円なら3.8点以上、1,500〜2,000円であれば3.85点以上など、一定の点数をクリアしたワインだけをお店に置いています。」
この指標はワインの品質を客観的に判断するために、自分用の記録として始めたことだそうです。ワインは嗜好品のため、評価は飲む人によって異なることや、生産者の方の想いを考えると公開するつもりはなかったそうですが、『ワイン選びの参考にしたい!』というお客様からの強い要望をきっかけに少しでもお客様のワイン選びのお手伝いが出来るならと、お店のページ上でも掲載することにしたそうです。「ワインの品質は一般の方にはなかなか判断しづらいですよね。そして、私も文字だけではどうしても伝えきれないこともあります。なので、麦ちゃんポイントがワイン選びのひとつの判断材料になれば嬉しいです。」

手頃で良いワインを揃えることに時間と労力を惜しまない麦島さんですが、改めて麦島さんにとってコストパフォーマンスの良さとはどのようなことなのでしょうか。また私たちが普段のワイン選びの中でそれらのワインに出会うためのコツはあるのでしょうか?

専門家が考えるコスパの良いワインとは


「欠かせない条件がやはり品質です。価格に対して納得のいく品質、もしくはそれ以上のものであればコスパの良いワインだと言えるのではないでしょうか。ただ、この点は、品質の高低を公正に評価できる私たちソムリエのような専門家の分野になりますね。一般の方にとっては品質だけでなく、自分自身が美味しいと感じるかもとても重要ですよね。」

コスパの良いワインに出会うための2つのポイント

では、私たちがなるべく高い頻度でコスパの良いワインに出会うためにはどうしたらいいのでしょうか?
「まずは、信頼できるソムリエやお店を見つけてもらうことがポイントになると思います。この人やお店が選ぶものは自分にとってハズレがない、そう思えるような相性の良い専門家に出会ってほしいですね。」と麦島さん。
「一方で、ワインは嗜好品。そのため、美味しいか美味しくないかは人によって違います。いくら値段以上に品質が良くても好みじゃなかったら納得感は得られない。だから、何が自分にとって美味しいか、自分自身の好みを知ることが2つ目のポイントだと思います。」
自分の好みを知るためにはどういうプロセスを踏むのが近道なのでしょう。麦島さんはそのポイントについても教えてくれました。
「まずは、自分が好きなブドウ品種を知ることです。そして次に見るべきは産地。好きな品種と産地が分かっていて、あとは予算を信頼できるソムリエに伝える、もしくは信頼できるお店で選ぶ。それができれば、納得のいくワインに出会えることが増えるのではないでしょうか。」

お手頃な価格で安定した良いワインが手に入る産地は?


ところで、産地によって価格帯に差があるのがワインの世界。手頃な価格帯でも比較的品質が安定している産地はあるのでしょうか?
「一概には言えませんが、1,000円以下や1,000円台ならチリがおすすめです。ですが、 2,000〜3,000円台ならば、私は南アフリカワインをおすすめします。」

世界で注目度が高まる南アフリカワイン

レインボーズ・エンド ワイン・エステート
低価格で美味しいと有名なチリワインに対して、日本ではまだまだメジャーとは言えない南アフリカワイン。「ここ数年で世界からの評価がみるみる上がっていて、生産量ではすでにチリと順位を競うほどに成長しています。1994年には200ほどしかなかったワイナリーが今では900まで増えていて、今後一層の盛り上がりを見せるであろう注目の産地なんです。」
麦島さんは南アフリカワインに早くから着目しており、現地にも何度か足を運ばれ、50軒以上のワイナリーを巡られています。「私が南アフリカワインに出会ったのは18年前。その時にあまりに酸が綺麗で衝撃を受けました。そして値段もリーズナブル。その高い品質がヨーロッパの人々にも認められており、今後フランスワインの脅威となりうる産地だと思っています。」

さぁコスパのよいワイン探しを始めましょう 

これまでコスパのよいワインと出会いたいとは思うものの、どうしたらいいのか分からなかった。そんな方はぜひ今回の麦島さんのお話を参考にしてみてくださいね。
そしてもし、まだ信頼できるソムリエの方やお店が見つからないという方なら、まずは「ワインブティックヴァンヴァン」で「麦ちゃんポイント」や「テイスティングコメント」を読みながら選ぶのはいかがでしょうか 。
最後にお話の中で出てきた、普段の晩酌用にも魅力的な南アフリカワイン。とっても気になりますよね。後編では、麦島さんに初心者におすすめの南アフリカワインを紹介してもらいます。価格帯別に紹介してもらったので、自分にぴったりな1本を見つけてみてくださいね。後編は1月31日公開予定です。お楽しみに!

後編:ぜひ試して欲しい注目の産地。南アフリカワイン初心者にイチオシの9本をご紹介

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